人面瘡
このまま何もわからなければ、あたしは呪い殺されてしまうんだろうか。


そう思うと発狂しそうな気持ちになった。


せっかく雄生とここまで近づく事ができたのに、そんなの絶対に嫌だった。


沙和のしたことは許せないけれど今は人を怨んでいる場合でもない。


焦りと恐怖であたしの心の中は一杯に膨らんでいた。


「あれ」


出口へと向かっていた途中、雄生が足を止めた。


雄生が見ている棚へと視線を向けるとそこは地元の資料などが置かれている棚だった。


「どうしたの?」


「見ろよこれ」


そう言って雄生が手にしたのは地元にまつわる会談話を取り上げた雑誌だった。


随分と昔に作られたもののようで、もう色あせてしまっている。


けれど、その表紙を見た瞬間あたしは息を飲んだ。
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