人面瘡
そんなことは絶対にないと、おつねの両親は彼女をかばった。


けれど、街一番の商人の娘が妖怪だったらどうするのだと言う噂は絶えなかった。


やがておつねは人前に姿を見せなくなった。


指を指され、噂をされることを恐れて屋敷の奥へと引きこもってしまったのだ。


おつねは夜な夜な泣いていた。


どうして私の体にはこんな醜いアザがあるのですか。


両親へ向けて何度も尋ね、こんな体になった事を怨んだ。


両親は必死でなぐさめ見えない場所のアザの事なんて気にするなと説得した。


けれど無駄だった。


おつねのアザについてはもう街の人ほとんどが知っている。


そして怯えているのだから。


やがておつねは食事もろくに取らなくなり、徐々に衰弱して行った。


このままではダメだと思った両親は街一番の医者を呼んでおつねを診察させた。
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