人面瘡
1人、日の当たらない部屋に閉じこもっていたおつねに逃げる術などなかった。


怯えるおつねに容赦なく振り降ろされるカマ。


右腕、左腕、右足、左足と切り取られるたびに血しぶきが舞った。


おつねは恐怖に涙を流し、痛みに絶叫した。


それでも街人はやめなかった。


妖怪の体は再生するのではないかという懸念を抱いていた彼らは、おつねの体を6つに切り裂かなければ安心しなかったのだ。


それが、右腕、左腕、右足、左足、胴体、顔だった。


なんの罪もないおつねを6つに切り刻んだ街人たちは、それをバラバラに埋めることにした。


近くに埋めていたのでは、いつ目覚めるかわからないと判断したからだった。


それから月日が流れ、アザの存在も徐々に理解されて行った頃、おつねの体がかき集められ、供養されることとなった。
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