人面瘡
けれどその頃にはおつねの暗殺に関わった人間はすでに残っておらず、その子孫たちが探し出すことになった。


右腕、左腕と順調に見つけて行き、その場その場に墓が建てられた。


自分たちの先祖が非道な事をしてしまったと泣き崩れ、おつねのために毎夜供養の祭りも行われた。


しかし、いくら探してみても顔だけが見つからなかったのだ。


バラバラに、しかも広範囲に埋められた体もあと1つだったのに、その頃街に奇妙な伝染病が流行し、彼らもまたその病に侵された。


彼らは死に際までおつねの顔の事を気にかけていたけれど、結局見つける事ができないまま息絶えた。


それから数十年……今でもおつねの顔は見つかっていないという。
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