人面瘡
「あたしはちゃんと出るよ。面倒くさいけどね」


そう言ってしかめっ面をする春子。


「アズサは足の怪我大丈夫? 手術後、よくないの?」


そう聞かれてあたしは曖昧に頷いた。


「そうだね。あまり、よくないかも」


そう返事をした時だった。


背中にむず痒いかゆみを覚えてあたしは顔をしかめた。


なんだろう、この痒み。


膝の痒みに似ているような……。


そこまで思い、ハッと息を飲む。


全身から嫌な汗が噴き出すのがわかる。


まさか、そんなこと……。
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