人面瘡
そう思いながら、制服を脱いだ。


手を背中へ回し届く範囲で確認する。


指先にゴツゴツとした固い感触があった。


その凹凸は広範囲に渡って出てきている。


嘘でしょ。冗談だよね?


自分で自分にそう言いながらも、心臓はドクドクと早くなっていく。


「どうしたのアズサ。着替えないの?」


「う、うん」


春子に返事をして体操着に手を伸ばす。


見学なんだから無理に着替える必要はなかった。


そのことを思い、グッと下唇を噛みしめる。


余計なことに気がつかなくてもよかったのに……!


「あれ、どうしたのその背中」


春子の言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねた。
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