人面瘡
☆☆☆

2人で移動してきた場所は学校の裏山だった。


精神的なことが原因で家まで歩けそうにないあたしのために、雄生が人目のない場所を探してくれたのだ。


裏山なら確かに誰も来ない。


雄生は体操着を広げてその上にあたしを座らせてくれた。


木陰はとても心地いのに、気持ちは沈み込んだままだった。


「背中、見せてもらってもいいか?」


「……うん」


あたしは小さく頷いた。


雄生に裸を見られる恥ずかしさよりも、恐怖心の方がずっと強かった。


雄生の手があたしの胸元のリボンを外す。


大きくて逞しい雄生の手。


こんな絶望的な場面じゃなくて、もっと素敵な場面ならよかったのに。
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