人面瘡
制服姿のあたしたちを見て怪訝そうな顔を浮かべている。


「なにしてるお前ら。山はラブホじゃねぇんだぞ!」


よく日焼けした男性は低い声でそう言った。


「ち、違うんです!」


雄生は慌てて左右に首を振ってそう言った。


「あたしたち、この石碑を見に来たんです」


あたしはそう言った。


それでも男性はあたしたちから怪訝そうな顔をそむけない。


「こんなもの観に来る連中なんて、もう俺以外にはいないハズだ」


そう言い、石碑の前で立ちどまると掃除をし始めたのだ。


あたしと雄生は顔を見合わせた。


「あの、もしかしてこの山の持ち主さんですか?」


雄生がそう聞いてくれた。


「あぁ。そうだ」


男性は頷く。
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