人面瘡
学校
おつねはお屋敷で生まれた一人娘だった。


それはとても可愛がられて育てられて、あのアザさえなければ青年とも結婚して幸せになれていたかもしれない。


だけどそれは途絶えられた。


人々の偏見により、すべてを奪われてしまった。


一人娘を失った杉原家は跡取りを残すため、その後男児を生んだ。


家が途絶えてしまう心配はなくなったが、おつねのことを忘れる人は誰もいなかった。


みんなの心の中には今もまだおつねがいる。


春子の両親の心にも、きっと、春子の心の中にも……。


夜の校舎は離れた場所から見ても不気味だった。


灰色の校舎は人々を飲みこんでしまいそうに見える。


「おつねさんが生まれた場所はここ」


あたしはそう呟き、門の前で足を止めた。
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