極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「すみません、お仕事中に……」
「元々そのつもりで時間は取っていたから大丈夫だ。のどかこそ、時間は?」
「私は大丈夫です。夕方からお客様との約束が入っているので、それまでに帰れば」
「それなら、少し時間いいかな」
「あ、はい……」
私の返事に微笑を浮かべた慶太さんは、どこかに向かって車を走らせていく。
今日は、少し光沢がある深いグレーのスリーピーススーツを着る慶太さん。
綺麗にセットされた髪の、濡れたような質感と、相変わらず美しい目鼻立ちに改めて見惚れてしまう。
見ているだけで胸が正常とは違う音を立て始めて、慌てて目を逸らした。
辿り着いた先は、一度だけ訪れたことのある新居だというあのタワーマンションだった。
車を駐車場でお願いし、慶太さんに手を引かれエントランスへと向かうと、今日も前回と同じコンシェルジュの二人が座っていた。
しんと静まり返ったエントランスホールに「お帰りなさいませ」という挨拶が響く。
やっぱり慣れないそんな出迎えに、ペコリと頭を下げてその前を通過した。