極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~



その晩。

夕方から予約のお客様との打ち合わせを終えて式場となりの自宅に戻ると、二人きりの食卓には私が好きな澄子叔母さんの肉じゃがが並んでいた。

鯖の味噌煮や、わかめときゅうりの酢の物。
味噌汁の具には、たっぷりのきのこが入っている。

どれも私の大好物ばかりだった。


「お帰り、お疲れ様。ちょうどできたところだから、手洗ってきなさい」

「澄子叔母さん」


ご飯を食べるよりも、先に話すことがある。

私がそんな空気を発していることに気付いた澄子叔母さんは、「話は食べながらしましょう」と言った。

逸る気持ちを抑えて洗面台へと向かい、気もそぞろ手を洗い食卓へとつく。

ふと見ると、慌てていたせいか手首にハンドソープの泡が残っていた。

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