極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「それは……なぜですか?」


心臓が、ドキン、ドキンと音を立て始める。

持ったまままだ使っていないフォークをカトラリーレストに置き直しながら、園咲さんの顔をじっと見つめる。

その間にも鳴り始めた鼓動は主張するように音を大きくしていく。


「私が、あなたに落ちてしまったからです」


冗談とは思えない誠実な目をして、園咲さんは私を見つめ続ける。

破壊力のあるセリフが高鳴りだした胸を揺さぶり、慌てたように目を逸らしていた。


「そんなっ……いや、でも、私はあなたと会ったこともないのに、そんなこと」

「確かに、直接お会いしたことはなかった。だけど、私はあなたを見ていました。仕事で見せる生き生きとした姿も、お客様と共に、本当に幸せそうな笑顔を見せている姿も」


そう言った園咲さんは「温かい、素敵なブログを運営されてる」と付け加えた。


澄子叔母さんが言ってた。

園咲さんは、うちのブログを見ていた、と。

お客様とのことはもちろん、うちに興味を持ってもらおうと、ブログには私も顏出しをしている。

仕事のことが中心だけど、親しみを持ってもらおうと、ちょっとした私自身のこともたまに綴ったりもしているのだ。

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