極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
病院を出ると、車は行き先をすでに知らされているのかどこかに向かって走り出す。
病院から十分もしないうちに停車した場所は、見上げるほどの高さを誇るタワーマンションの前だった。
松崎さんが開けたドアを出ると、園咲さんは「ありがとうござました、ご苦労様です」と声を掛ける。
それに習って、私も「ありがとうございました」と頭を下げた。
私たちの出た後部座席のドアを閉めた松崎さんは頭を下げると、「明朝は九時にお迎えに上がります」と言い、運転席へと戻っていった。
「あの……ここは」
松崎さんが車を出していくのを横目に、園咲さんを見上げる。
その視線をキャッチした彼は、自然な動作で私の腰に手を添えた。
それだけで腰が引けるようになってしまった私を更に引き寄せ、マンションのエントランスに向かって歩み出す。
「のどかさんと、私の新居です」
「えっ……し、新居?!」