『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由


綺麗な顔の伊織にじっと見つめられ、恥ずかしくなって下を向く。

すると両手で顔を優しく包まれ、上を向かされた。


「謝っても許して貰えないかもしれない。幻滅だってしただろ、、、。お前が兄のように慕ってくれるのが、昔は嬉しかった。自分でも冷めた人間だという自覚があったんだ。そんな俺に懐いてくれていつも笑顔で後ろをついてくるお前が可愛くて仕方なった。」


静かに語る伊織の声に、耳を傾ける。


「でも、、、次第にそれが辛くなってきた。必死に自分の気持ちに蓋をして過ごしてきた。結局、高校の卒業式に限界を迎えて鈴に手を出した。あの時、鈴、、、 泣いただろ?少し自惚れてたんだ。もしかしたら、鈴も自分と同じ気持ちかもしれないって。でもそんな願いは見事に崩れ去った。終始涙を流す鈴を思い出して、離れるべきだと思った。、、、離れて過ごした5年間は、何処か心に穴が空いたような感覚でそんな穴を埋めようと、数え切れない程、、女も抱いた。でもその穴が埋まることはなかった。」
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