イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「よし、今度の土曜日私の家に遊びにおいで。メイクの特訓してあげるから」
「特訓、ですか……」
メイクなんてほとんどしたことがない私に、スミレさんの特訓はきびしそうだな、とおびえてしまう。
すると顔を強張らせた私を見たふたりが、笑いながら「大丈夫」と言ってくれた。
「へたくそでも怒らないよ。メイクは自分が綺麗になるためにするものなんだから、楽しくなくちゃ意味ないでしょ」
「そうそう。佳奈さんも、きっと自分からもっとメイクがうまくなりたいって思いますよ」
確信したように言い切るふたりに首をかしげると、美容部員さんが私の前髪をとめていたピンを外した。
そしてカウンターの上にあった鏡をこちらに向ける。
「さ、どうでしょう」
そう言われ、外していた眼鏡をかけてのぞきこむ。
その中には、いつもよりずっと明るい表情をした私がいた。