イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「コンタクトにすればいいのに」
「コンタクトは……」
目の中にレンズを入れるなんて。
想像するだけで怯えてしまう。
コンタクトをする人はたくさんいるけれど、自分の体内に、しかも敏感で重要な目の中に異物を入れるなんて怖くないんだろうか。
「そんな怖いもんじゃないんだけどなぁ。私もしてるし」
青ざめた私に、スミレさんは苦笑いしながら眼鏡を返してくれた。
「スミレさんも、コンタクトなんですね」
スミレさんが眼鏡をかけている姿を一度も見たことがなかったから、目が悪いなんて知らなかった。
戻ってきた眼鏡をかけなおし、スミレさんの目元をまじまじと見る。
「無理にはすすめないけど、興味があるなら一度試してみてもいいと思うよ」
その言葉に、少し考えてから首を横に振った。
「あんまり一気に新しい扉を開くと、頭がパンクしそうなのでやめときます」
下着を買ってメイクもしてもらって、それだけでもう引っ込み思案な私にはいっぱいいっぱいだ。