イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「そっか。もし扉開けたくなったら言ってね。相談に乗るから」
臆病で頭の固い私に呆れることなく優しく笑ってくれるスミレさんに、胸があたたかくなった。
「スミレさん、いつもありがとうございます」
私が頭をさげると、わしゃわしゃと髪をなでられた。
「この勢いで髪も切らない? ずっとこのくらいの長さのロングだけど、佳奈ちゃんは背が低いから、もうちょっと切って肩の上くらいで揃うくらいのボブにしたほうが可愛いと思うよ」
「えっ!」
スミレさんの言葉に、美容部員さんもうなずく。
「うん、黒髪のボブなら眼鏡にも合うし、童顔でかわいらしい感じがひきたっていいと思います」
「いや……」
化粧品売り場も苦手だけど、それよりもさらに苦手なのが美容室だ。
美容師さんの言葉にリアルタイムで適切なあいづちをうちながら、長い時間椅子の上で拘束されるなんて、正直苦痛でしかない。