イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

極力美容室にはいきたくないから、年に一、二度、髪をうしろでひとつに縛れるくらいの長さで揃えてもらい、前髪は邪魔になったら自分で適当に切っているだけだった。

思い切り顔をひきつらせると、見ていたふたりが吹き出した。

「ま、無理にとは言わないけど、いつか本当にかわいくなりたいと思ったら、苦手なことにも挑戦してみるといいかもよ」

その言葉に、おずおずとうなずいた。

もし私が苦手なことにも挑戦して、それなりに可愛い女の子に慣れたら、拓海はほめてくれるかな。
もう完璧に失恋してるくせに、そんなことを思ってしまうなんて、私はどこまで未練がましいんだろう。

「それにしても、なんだか大荷物になっちゃったね」

両手に紙袋を抱えた私を見てスミレさんが笑う。

下着を買い、メイク用品を買い、ついでにスミレさんが洋服も選んでくれた。
スミレさんも色々買ったから、ふたりともいつのまにか荷物でいっぱいだ。


 
< 119 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop