イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
極力美容室にはいきたくないから、年に一、二度、髪をうしろでひとつに縛れるくらいの長さで揃えてもらい、前髪は邪魔になったら自分で適当に切っているだけだった。
思い切り顔をひきつらせると、見ていたふたりが吹き出した。
「ま、無理にとは言わないけど、いつか本当にかわいくなりたいと思ったら、苦手なことにも挑戦してみるといいかもよ」
その言葉に、おずおずとうなずいた。
もし私が苦手なことにも挑戦して、それなりに可愛い女の子に慣れたら、拓海はほめてくれるかな。
もう完璧に失恋してるくせに、そんなことを思ってしまうなんて、私はどこまで未練がましいんだろう。
「それにしても、なんだか大荷物になっちゃったね」
両手に紙袋を抱えた私を見てスミレさんが笑う。
下着を買い、メイク用品を買い、ついでにスミレさんが洋服も選んでくれた。
スミレさんも色々買ったから、ふたりともいつのまにか荷物でいっぱいだ。