イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
しばらくすると、待ち合わせの場所に一台の車が停まった。
四角いかたちの白い車。
「あ、きたきた」
スミレさんが顔を上げ、車に向かって手を上げる。
運転席から降りてきたのは、私服姿の川口さんだ。
仕事を終えて会社から家に帰ったのに、わざわざ車でやってきてくれたんだろう。
「お疲れー」
軽く手を上げ声をかけるスミレさんのとなりで、私は頭をさげる。
「すみません。呼び出してしまって」
「あやまらなくていいよ。呼び出したのは、佳奈ちゃんじゃなくスミレだろ」
大きな手でぐりぐりと髪の毛をかきまぜられ、川口さんが少しも怒ってないことにほっとする。
頭をあげると、川口さんは私の頭から手を放し首をかしげた。
「あれ、佳奈ちゃん今日ちょっと雰囲気違う?」
まじまじと顔を見られ、恥ずかしくてまた視線が足元に落ちてしまう。