イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「お、さすが信彦。今日の佳奈ちゃんはちゃんとメイクしてるんだよね」
「へぇ……。かわいいじゃん」
「あ、ありがとうございます」

本当に今日は人からほめられすぎだ。
こんなにほめてもらうことはないから、居心地が悪くてしかたない。

「今日メイク用品もひと通り買ったから、次の土曜日うちで特訓するんだ」
「あ、勝手におうちにお邪魔することになってすみません」

スミレさんのおうちは同棲している川口さんの家でもある。
休日におしかけるのは迷惑じゃないかな、と不安になりながら見上げると、ぽんっと頭を小突かれた。

「遠慮しないでいつでも遊びに来おいで。土曜は俺飲み会の予定だし、なんなら泊っていってもいいよ」

おおらかな笑顔にほっとした。
スミレさんも川口さんも、すごく優しくて一緒にいるだけでうれしくなる。


 
< 122 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop