イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「飲み会って会社の?」
「そう。今回は俺が幹事だけど、スミレも来る? 同期の女子も来るよ」
「私はいいかなー」
そんな会話を交わすふたりをぼんやりと見ていると、スミレさんが「あ」と声をあげた。
「あ、そうだ。会社用のストッキングを買わないといけなかったんだ。急いで買ってくるから、五分くらい待っててもらってもいい?」
買い忘れを思い出したスミレさんに、ふたりでうなずく。
「ごめん、すぐ戻るから!」
パタパタとかけていく後ろ姿に、川口さんが「こけんなよ!」と優しさとひやかしが混じった声をかけると、スミレさんが振り返って顔をしかめた。
そんなスミレさんを見送りながら、川口さんとふたりでくすくすと笑う。
「とりあえず、荷物車に積もうか」
私の足元にある荷物に気づいた川口さんがそう言ってくれる。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ」
手を出され、紙袋を差し出すと楽々と持ち上げて車まで運んでくれる。