イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「スミレから聞いたけど、佳奈ちゃん窪田の家にご飯を作りに行ってるんだもんな」
納得したようにつぶやきながら、横目で私を見下ろす川口さん。
「た、拓海に見せたいとか、そういうことでは……っ!!」
恥ずかしさのあまり叫んでしまう。
ずり落ちそうな眼鏡を両手で押さえると、揺れた視線が見覚えのある姿をとらえた。
私は思わず目を見開く。
その表情に気付いた川口さんが、私の目線の先を見て「お!」と声を上げた。
「窪田」
川口さんが明るい声でそう呼びかけた先には、スーツ姿の拓海が立っていた。
「残業で今帰り?」
気安い口調で問いかけられた拓海は、「そうです」とうなずく。
丁寧な口調とは対照的に、不機嫌そうな表情。
なんでそんなに怒ってるんだろう。
もしかして、今の会話聞かれてた?
拓海から眉をひそめて睨むような視線を向けられ、居心地の悪さに思わず川口さんの後ろに隠れる。
それを見た拓海がわずかに眉をひそめた。