イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「川口さんは……」
拓海の問いかけに、川口さんがにっこりと笑う。
「俺は荷物持ちに呼ばれただけ。佳奈ちゃんは可愛い服とかいっぱい買ったんだよな?」
「あ、はい」
話題をふられこわごわとうなずくと、拓海の視線が冷たくなる。
「そうですか。……じゃあ、お疲れ様です」
すごく険しい顔をしていたから私に文句でもあるのかと身構えていると、拓海はそう言って軽い会釈をしただけで、駅のほうへと歩いていった。
ほっとしたようなさみしいような、複雑な気持ちで見送っていると頭上からあきれたような短い笑い声が聞こえた。
おずおずと上を見ると、川口さんが私を見下ろして苦笑いの表情を浮かべていた。
「ふたりとも、本当に素直じゃねぇな」
「へ?」
意味が分からず目を瞬かせる。
「どういう意味ですか?」
確かに私は素直とはかけ離れたひねくれものだけど。
「いや、幼馴染みって甘酸っぱいなと思って」
面白がるような川口さんの言葉に首をひねっていると、まるで子供をあやすようにぽんぽんと頭をなでられた。