イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「信彦、いいこと言う……!」
スミレさんが川口さんの言葉に感動して目を輝かせる。
私もそのとなりで、めいっぱい首を縦に振ってうなずいた。
拓海に恋をしてから十年。
私は一度も彼に想いを伝える努力をしてこなかった。
彼に好きになってもらおうなんて思ったこともない。
地味女にはおしゃれなんて似合わない。
そうやって言い訳を繰り返してコンプレックスを作り上げていたのは、自分自身だ。
「私、拓海に告白します。ちゃんと自分の気持ちを伝えて、すっぱり振られて諦めます」
こぶしを強く握って言うと、川口さんが笑ってうなずいた。
「じゃあ、ちょうどいいから今日の飲み会においで」
「は?」
突然の飲み会の誘いに、きょとんとして目を瞬かせる。
なんで拓海への告白が飲み会への参加になるんだ。
「今日の飲み会、営業の若いやつらと他部署との交流が目的で俺が幹事で声をかけてるんだけど、ゆるい社内合コンみたいな目的でやってくる女の子もいるんだよね」