イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「それに、拓海も出るんですか?」
「参加する女の子から窪田は絶対呼んでって言われてるから、あいつは強制参加」
当然のようにうなずく川口さん。
拓海め……。
彼女がいるのに合コンとは、なんてことだ。と思わず私は顔をしかめる。
それからはっとしてスミレさんのことを振り返った。
川口さんだって、スミレさんという素敵な彼女がいるのに。スミレさんは平気なのかな? とその表情をうかがう。
「ま、営業は人とのお付き合いの部署だから。私と信彦が付き合ったきっかけも同じようなもんだし」
スミレさんはそう言って平然と肩を上げた。
本社だけで千人以上の社員が働いている大きな会社だから、ただ与えられた仕事をこなすだけだと、同年代でも違う部署に所属する人とはほとんどかかわりがなくなってしまう。
上司と部下といった縦の関係だけが強くなると、仕事の幅が広がらないし視野も狭まる。
横のつながりを作るためにも、クラブ活動や同期会的な他部署との交流会は上層部からも好意的に推奨されてる。
まぁ、人間関係を築くのが苦手な私は、ほとんど参加したことはないんだけど。