イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 



スミレさんとふたりでにぎやかなお店の前に立つと、とたんに不安が込み上げてきた。

いつもはぺたんこの楽な靴ばかり履いてるから、少しヒールのあるパンプスはバランスがとりづらくて心許ない。

足元を見下ろすと視界のはしで切ったばかりの黒髪がさらりと流れた。
肩の上で切りそろえ、内巻きになるように柔らかくスタイリングしてもらった髪型は、毛先がうなじに触れてすこしくすぐったい。

スカートなんて制服のタイトスカートくらいしか履かないから、膝丈のワンピースは足元がスースーしておちつかないし、はじめてのコンタクトは視界がやけにクリアに見えて逆に不安になってしまう。

眉を下げてスミレさんをふりかえると、大丈夫、というように肩を叩かれた。

「佳奈ちゃん、すごく可愛いよ」

はげますような優しい言葉に、ぺこりと頭を下げる。


 
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