イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

飲み会の会場はカジュアルな雰囲気のイタリアンバルだった。

壁一面の大きな黒板にイラスト入りで書かれたメニューや、カウンターの上部に並んでぶら下がるワイングラス。
落ち着いた色の革のソファにビンテージな印象の組み木のテーブル。
入り口のドアを押して入ってきた私たちに、ひざ下までの黒いギャルソンエプロンを付けた店員さんが「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。

一歩踏み入れただけでおしゃれな雰囲気に気圧され涙目になっていると、みかねたスミレさんが苦笑しながら進み出てくれた。

「川口で予約が入ってたと思うんですが」
「あ、ほかの皆さんもう集まってますよ。こちらにどうぞ」

スミレさんの言葉にうなずいた店員さんが、私たちを店の奥へと案内してくれる。

飲み会は十九時からの予定で、今はもう十九時半だ。

スミレさんのおうちでメイクをしたあと美容室で髪を切ってもらい、それからコンタクトを作るために眼科が併設されたコンタクトレンズ屋さんにいったんだけど、そこでてこずって予想以上に時間がかかってしまった。


 
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