イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「なんとなく見たことがあるような気もするんですけど、覚えてるかって言われると、うなずいていいのかどうか……」
「いやそれ、ぜんぜん覚えてないから」
茶髪の彼は、気を悪くする様子もなくケラケラと大きな口を開けて笑う。
「俺、森下さんと同期なんだよ。新人研修で一緒になったんだけどなぁ」
「すみません」
慌てて頭を下げてあやまった。
入社時の社員研修なんて、研修をこなすだけでいっぱいいっぱいで周りに誰がいたか全く記憶にない。
しかも同期入社とはいえ、毎年全国各地にある支社を合わせると五百人以上の新人が採用され研修を受けるのに、そこで一緒になったことを何年もちゃんと覚えてるなんて、この人は特殊能力でも持ってるのかと驚く。
それとも私の記憶力が低いだけなのか。