イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
瞬きをしながら、言われた言葉を反芻する。
……今、川口さんのことが好きって言った?
おどろいて顔をあげると、拓海に睨まれた。
「川口さんのためにそんな恰好して、普段は来ない飲み会に来たんだろ?」
「ち、ちが……っ!」
とんでもない勘違いに、慌てて首を横に振る。
まさか拓海、私の好きな人が川口さんだと思ってる?
「ちがうよ! 川口さんのことなんか、好きじゃないよ!」
私がはっきりとそう言うと、私たちのやりとりを見守っていた川口さんが胸を押さえる仕草をする。
「佳奈ちゃん、なんかってひどい。傷ついた」
「すみません。川口さんはちょっと黙っててください」
おどけて笑った川口さんに、拓海が冷たい視線をなげると「窪田が冷たい。もっと傷ついた」とふてくされてしまった。
「じゃあ、お前の好きな奴ってだれだよ」
低い声でそう問われる。
じっとみつめられ、頬が熱くなる。
鼓動が勝手に早くなり、手のひらに汗が浮かんだ。