イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「そんなの……」

真っ赤になった情けない顔を見られたくなくて、腕で隠しながら震える声で言った。

「そんなの、あんたに決まってるでしょ……!」

片想いして十年。はじめて伝えた素直な気持ち。
ああ、これでやっとこじらせた初恋ともお別れだ。

告白して振られて、悲しいけれどすこしすがすがしい気もする。

そう思っていると、拓海が私の顔をのぞきこんでいた。
まっすぐに見つめられて思わずうつむくと、両手で頬を包まれて顔を上にむけられた。

「……もう一回」
「え?」

ぽつりとつぶやかれ、戸惑いながら首をかしげると「もう一回言って」となぜかリクエストが入ってしまった。

「だから、私が好きなのは拓海だって」
「本当に?」
「本当だよ。私が拓海以外の男の人を、好きになるわけないでしょ」

だから、こんなふうに何度も傷をえぐらないで、さっさと告白を断ってほしい。
未練をこなごなに打ち砕くほどに、木っ端みじんに振ってほしい。
けれど拓海は私の告白の答えは出さず、私の腕を掴んだ。


 
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