イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「十年間ずっと好きだったのは、私だけでしょ?」
頬をふくらませた私に、拓海が「ん?」と首をかしげてこちらを見る。
「拓海は、ちゃんと彼女がいるじゃない」
胸がずきりと痛む。
高校の時は好きでいてくれたとしても、拓海にはちゃんと彼女がいるんだ。
過程はどうあれ失恋には違いない。だから、浮かれちゃだめだと自分を戒める。
唇を噛んだ私に、拓海は意味が分からないと言うように眉をひそめた。
「彼女なんていないけど」
「うそつかないでよ」
拓海の言葉に、今度は私が眉をひそめる。
「いや、今までいたこともあったけど、今はいない。本当に」
「でも、本命に悪いからキスしないって言ってた……」
「あれは、お前の方だろ」
「え?」
私の方って、どういう意味? 首を傾げた私に、拓海はうんざりしたようにため息をついた。
「お前が、好きな男がいるっていうから、気を使って我慢したんだろうが」
「そうだったんだ……」
またも私の勝手な勘違いだったんだ。