イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

改めて、これまでの拓海の言動を思い返してぶわっと顔が熱くなる。

『お前、本当に男の趣味悪いよな』と不機嫌になった拓海。『本命のことなんて、忘れろよ』と私を床に押倒したり、川口さんと話す様子を見て『お前の好きな男って、あいつ?』と詰め寄ってきたり、考えてみれば拓海は私に対していつも独占欲をむき出しにしていた。

冗談ではなく、からかわれているのでもなく、本当に私のことを好きでいてくれたんだ。
そう実感して、鼓動が早くなる。

「納得したか?」

せっかちな拓海は、ようやく理解し始めた私にせかすように聞いてくる。

「えっと、でも里奈は……?」
「里奈?」
「昨日、ここに泊まったよね?」

もしかして、ふたりの間になにかあったんじゃないかと気になっていたことをたずねると、あきれたようにため息をつかれた。

「あいつがお生まれたころから知ってるんだぞ。恋愛対象になるわけねぇだろ。昨日はあいつが一方的に帰りたくないっていうから仕方なく泊めてやったけど、なんにもないし、里奈にはちゃんと佳奈のことが好きだからって断った」


 
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