イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
拓海の答えにほっとして肩を下ろすと、意地悪に笑われた。
「でも、あいつそうとう不貞腐れてたから、しばらく機嫌悪いだろうし、きっと色々詮索されるぞ」
面白がるように言われ、私はひぃっと青ざめる。
恋愛経験豊かで鋭い里奈が、私と拓海が両想いになったことに気付かないわけがない。
きっとあれこれしつこく聞かれたりするんだろうな。
妹に恐怖を感じつつも、拓海に告白をして傷心した彼女の気持ちもわかってしまうから胸がずきりと痛む。
そんな私の複雑な気持ちを見透かしたように、拓海がぽんぽんと私の頭を叩いた。
「里奈は、本気で俺を好きなんじゃなくて、ただ姉のお前のことが好きだからかまってほしかっただけだと思うよ。すぐにほかに好きな男を見つけるだろうから、気にすんな」
優しく言われ、「うん」と小さく頷く。
それに、もし里奈が本気で拓海を好きだったとしても、ゆずることなんてできない。
中学生の時からもう十年も、ずっとずっと好きだったんだから。