イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「拓海……」

小さく名前を呼ぶと、拓海が「ん?」と首を傾げた。
甘い視線で見つめられ、胸が苦しくなる。

「好き」

十年間心の奥に溜め続けた気持ちを、外に出さないと溺れてしまいそうなくらい苦しくて、勝手に言葉が溢れてしまう。

「好き、好き、好き、好き……」

一度あふれた気持ちはとめどなく湧き上がってきて、どうしていいのかわからなくなる。
言葉と一緒に涙がこみあげて、視界が潤んでぼやけてしまう。

ぽろぽろと涙をこぼしながら「好き」を繰り返していると、唇がふさがれた。

「ん……っ」

驚いて目を見開くと、うるんだ視界に鼻にしわを寄せて笑う拓海が写った。

「俺も、好きだよ」

そう言って、何度もキスを繰り返す。
唇が触れるたびに、拓海の『好き』という気持ちが伝わってきて胸がいっぱいになる。


 
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