イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

「今更逃げるとか、ナシだからな」

綺麗な唇の端を持ち上げた端正な顔。こちらを見下ろす涼しげな黒い瞳。
見なれた拓海の表情が、ゆっくりと熱を帯びていく。

もう二十年以上の腐れ縁の幼馴染だけど、拓海のこんな表情は見たことない。
もったいぶるようにベッドに近づき、ゆっくりと私に覆いかぶさる拓海を見上げながら、私は緊張で瞬きすらできなかった。

抱いてくださいと頼んだのは私だけど、男女間で行われるそれが一体どういう手順で始まってどういうふうに進んでいくものなのかさえ知らない無知な私は、ただベッドの上で体を固くすることしかできない。

吐き出した息が震えていた。
緊張で息が苦しい。

あれ、いつも呼吸ってどうやってしてたっけ?
そんなこともわからなくなるほど、動転している自分がいる。

「あんまり緊張するなよ」

そんな私を見下ろした拓海が、くすりと笑う。


 
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