イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「いえいえ。いろいろ相談に乗るの楽しかったし、幸せそうな佳奈ちゃんが見れて、私も嬉しい」
すると、私の隣にいた拓海も頭を下げる。
「昨日はお騒がせして、途中で帰ってすみませんでした」
拓海が謝罪すると、スミレさんが慌てて首を横に振った。
「窪田くんは謝らなくていいよ。昨日のはけしかけた信彦が悪いんだし」
そのスミレさんの視線が、リビングに置かれたソファに向かう。
広げた雑誌を顔にのせて眠る長身の男の人を、冷たい目で見ながらそう言った。
「えー、悪いのは俺かよ」
眠っていたはずの川口さんが、自分の話題になったとたんのそりと起き上がる。
もしかして最初から狸寝入りしてたのかな、と思いながら見ていると、川口さんは顔の上の雑誌を取ってふてくされた表情をしていた。
「俺は佳奈ちゃんのために協力したのに。ねぇ佳奈ちゃん?」
こちらに歩いてきた川口さんが私の顔をのぞきこむ。そしていつもみたいに頭をぽんと叩こうとしたのか私の髪に手を伸ばす。