イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました

　

「窪田って、入社した時からずっと、涼しい顔でなんでもそつなくこなす器用な奴だなと思ってたけど、そんな顔もできるんだな」

その楽しげな声に、張りつめた空気が一気にほぐれる。

「お前、そうやって必死になってるほうがずっといいよ。かわいいとこあるじゃん」

川口さんが両手を伸ばして拓海の髪をわしゃわしゃと撫でまわした。

「川口さんにかわいいと思われても、少しもうれしくないです」

心底いやそうに拓海が眉をひそめると、川口さんはさらにご機嫌な表情になり頭をなでるてに力をこめる。


かみあわないふたりに、見守っていた私とスミレさんはこらえきれずに肩を揺らした。