イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 







スミレさんの家を出て、駅までの道を拓海とふたりで手をつないで歩いた。

生まれてから二十五年。
一度もまともな恋愛をしたことがなかった私は、好きな人と手をつなぐのはもちろんはじめてだ。

自然に手をつなぎ指をからませた拓海に、私ひとり動揺して汗が浮かんでしまう。
じっとりと汗ばんだ手のひらが恥ずかしくて手を引っ込めようとすると、逆に指に力をこめられた。

ぎゅっと隙間なく密着した手に、動揺して体温が上がってしまう。

反対の手でさりげなく口元を隠して、真っ赤になった頬をごまかそうとしていると、「どうした?」と拓海に顔をのぞきこまれた。

「えっと、あの……」

なんて答えていいのか迷い、視線が落ち着きなく泳いでしまう。

眼鏡を押し上げながら言い訳をさがしてみたけど、拓海に容赦なくじっと見つめ続けられ、諦めて素直に口を開いた。



 
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