イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
スミレさんのおうちで想いを吐き出し、すっきりして家に帰る。
優しいふたりのおかげで、昨日よりもずっと気持ちが軽く感じる。
このまま、拓海とかかわらないようにしていけば、自然と初恋を忘れられるかも。
そう思いながら、もう目をつぶったって進めるくらい歩きなれた、駅から自宅がある住宅街へと続く道を行く。
公園を曲がると見えてくる三角屋根の一軒家が我が家だ。
そしてそのとなりにあるグレーの外壁の四角い家。そこに拓海が住んでいた。
私たちが高校一年の時、拓海の両親は離婚しておじさんは家を出ていった。
卒業までは拓海はおばさんとふたりでここに暮らしていたけれど、大学へ進学すると同時にその家は売りに出された。
今は、小さな子供がいる夫婦が住んでいる。
拓海がここを出て行ったのはもう何年も前のことなのに、私はいまだに隣に拓海がいない生活に慣れられずにいる。
見上げればあの二階の窓が今にも開き、中から拓海がこちらを見下ろして、意地悪な悪態を投げてきそうなのに。