イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
なんだこれ、幻覚かな? 私は幻覚を見ているのかな?
そう思って眼鏡を外し、ごしごしと乱暴に目をこする。
そして眼鏡を装着しなおしてみたけれど、やはり変わらずそこに拓海はいた。
「なにやってんの、お前」
ドアを開いたところから一歩も動けずに挙動不審な行動をする私を、拓海があきれたように鼻で笑う。
ぷっというはじけた吐息に、ようやく我に返った。
「な、なにやってんのはあんたの方でしょ!? なんでうちにいるのよっ!」
血相をかえて私が叫ぶと、なぜか母ににらまれた。
「佳奈。なに失礼なこと言ってんの。せっかく拓海くんが久しぶりに遊びに来てくれたのに」
いや、だって。
誰も遊びに来てなんて言ってないし。
引っ越ししてから拓海がひとりで我が家にやってくることなんてなかったのに、なぜこのタイミングで来たのか。
昨日私が拓海を枕で殴り倒して逃げ出してきたとこが原因なのは間違いない。
私は恐怖で青ざめる。