イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
なんとか嘘で乗り切ろうと顔を真っ赤にしていると、拓海の表情が険しくなった。
「それ、好きな男のためってことか?」
「は……?」
「いつか好きな男と結婚した時に、困らないようにってことだろ」
「いや」
私が好きな人と結婚できる可能性なんて、はてしなくゼロに近いんですけど。
「むかつく」
人の言葉を勝手に解釈して、拓海が不機嫌そうにつぶやく。
「その男のために処女を捨てようとしたり、料理の練習したり。そんなに好きなのか?」
「いやいや」
否定しようとして、私は拓海に嘘ばかりついてることに気づく。
その場しのぎの嘘を重ねて、本心を誤魔化して、はぐらかして。
……私は卑怯だ。
きっと素直に好きと伝えれば、こうやって料理を作れと言われることもなかったはず。
このふたりきりの時間は、私の嘘の上に成り立ってる。