彼の甘い包囲網
私と奏多の距離がゼロになる。

眼前に奏多の伏せられた長い睫毛が見える。

ソッと奏多の唇が一瞬離れた。


「何、固まってんの」


フ、と奏多が微笑んで。

再びキスをした。


グッと押し付けるような何もかもを奪うようなキス。

こんなキスは知らない、したことがない。

戸惑って腰をひこうとする私を阻むように奏多がグッと私を抱き込む。


「んん、かな……」


抗議の声は奏多の唇に吸い込まれ。

口を開いた場所から奏多の舌が侵入した。

温かな感触が口腔内に広がる。

奏多の舌が私の歯列を舐めて、上顎を掠める。

逃げ惑う私の舌を執拗に追いかけて捕まえる。

絡めとられた舌に逃げ場はなく。

アッサリと陥落する。

口の中を探索するように奏多の舌が動き回る。

奏多の熱が伝わって身体がジンと痺れる。

頭が真っ白になって何も考えられない。

奏多が角度を変えて唇に吸い付く、その音だけが響く。


私の呼吸さえも奪い取るような荒々しさに身体から力が抜ける。

カクン、と崩れ落ちそうになった私の身体を奏多が支えて。

靴を乱暴に脱がされて、私は奏多に横抱きにされた。

そのままリビングとおぼしき場所に運ばれる。
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