彼の甘い包囲網
奏多は黒い革張りのソファに座っている。

その膝に座らせた私を背中からギュッと抱き締める。

奏多の長い腕が私のお腹に回されている。

時折、首筋にかかる奏多の吐息に私の肩が跳ねる。

心臓がこれ以上ないくらいにせわしなく鼓動を刻む。


「あ、の。
奏多、私、隣りに座りたい……」

幾度となく言ってみたのだけれど。

「駄目」

すぐに却下される。

「で、でもこれじゃ話しにくい……」

緊張なのか、ガチガチに身体が強張る。

「俺は話しやすいよ」

そう言って私の髪に口付ける。


何で急にこんなに甘くなるの……!

私の顔はずっと真っ赤に火照ったままだ。


「……やっと楓が俺の気持ちを受け入れてくれたんだ。
離れたくない」

「や、でも……」

思わず顔を奏多のほうに動かすと、とびきり甘い微笑みを向けられた。

「……離れたら、お前の告白が夢なのかって不安になる」

「んん……」

うなじにポスンと首を埋められる。

感じる奏多の唇の感触。

チリ、と痛みが走った。
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