放課後○○倶楽部
「あ、あの……マッキ―さんって誰ですか?」
「ん? ああ、律子ちゃんは見た事ないだったね。それと『マッキ―』ではなく、『ママッキ―』だから間違えないように」
「そ……そうなんですか」
「では、ママッキ―さんについて説明しよう」

 ママッキ―さんとは正式には東山麻貴(ひがしやままき)と言い、一応は二年の女子である。見た目をまったく気にしないので髪はキューティクルの欠片もないほどで、おまけに今時ガリ勉でも掛けない瓶底眼鏡をしている変わり者。しかも、言動に統一性がないので話しているとこちらが疲れてくる特技を持っている不思議な人でもある。

 これで白衣を着ていたら間違いなくマッドサイエンティストだと思うが、その資質は十分持っていると言っても過言ではない。

 しかも、こういうタイプはゲームにしろ、漫画にしろ、眼鏡を外せば美少女と言う法則を持っていると思うが、それすらも打ち破った人だ。別にママッキ―さんが美人じゃないって言っているわけではなく、素材はいいのだが化粧もしないのでそれが生かしきれてないような気がして――って、なんで俺は必死に弁明しているのだろうか?

「で、機械製作のエキスパートとしてこのクラブに在籍しているが、ほとんど顔を出さないで今は大型機械工作部で宇宙に行くロケットを作ると意気込んでいる変人なんだよ。言っておくけど、変人ぶりなら部長より格段に上を行くと思うから」
「は、はあ……そうなんですか」
「あと、出会っても関わり合いになっては駄目だよ。見た目は無口そうに見えるけど、喋りだすと平気で半日以上は機械について喋り続ける機械馬鹿だから」
「は、はい……分かりました」

 別に脅しているわけではないが、すっかり怯えた様子の律子ちゃんは俺を見つめて涙目になっていた。

「まあ、律子いじりはそれくらいにして……このパソコンの使い方を説明しよう」
「よろしくお願いします」

 何事もなかったかのように話を続ける和音さんに俺も続いたが、律子ちゃんは説明を聞いている間、ずっと怯えていた。

 少し遊び過ぎたかな……。
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