放課後○○倶楽部
第七話:マッドな科学者登場
 最近、身の回りにおかしな事が立て続けに起こっている事でお悩みの皆さん。

 こんにちわ、伏峰智樹と申します。

 さて、今日は俺が経験した中でもかなりの驚き度を記録した珍事件をお話しよう……って、現在進行形なのですけど。


「ともちゃん見てよ、これ。ママッキーちゃんの新発明なんだってさ。すごいよ、すごいよお」

 子供のように楽しそうな声を上げて俺の肩をバシバシと叩く部長を本来であれば瞬殺するのだが、あまりの衝撃的な出来事を目の当たりにして俺は呆然としていた。

「ともちゃん、すごいよね。これ、コントローラで動くんだってよ…………うほっ、すっごーいっ」

 目の前を右へ左へ動いている変な物体が俺を見つめて微笑んでいるが、俺の頭は絶対に正常のはずだ。

 決して幻を見ているわけでもオバケを見ているわけでもない。だが、少々冷静さを欠いているのは事実だ。

「でも、よく出来てるよね……このラジコン。まるで本物みたいだよ」
「気持ち悪いだけですよ、これ」

 楽しそうな部長の声とは対照的に俺の声はかなり落ち込んでいた。

 目の前で急ブレーキを掛けて止まったラジコンは髪をなびかせて爽やかに笑みを浮かべていたが、俺は眩暈にも似た感覚を覚えていた。

 ――ともちゃんラジコン。

 部室に来るとそう銘打たれた箱がテーブルの上に置かれていた。俺は今までの経験上、この手の代物はかなり面倒な事があとに待っているのは百も承知している。

 慎重に事を進めようとしていた矢先に俺のあとから部室に入ってきた変態部長が目ざとく見つけ、真っ先に開けてしまったのだ。

 そして、その箱の中に入っていたのはビックタイヤが自慢の大型ラジコンの上に、俺の顔を模したマネキンのようなものがくっ付いている奇妙なものだった。一緒に取扱説明書と某有名メーカーが一昔前に出して売れ行き不振だったのか夢のように消えて撤退したゲーム機のコントローラもどきが同梱されていた。

 懐かし……いや、著作権大丈夫か、これ?

 あまりの衝撃に最初は声が出なかったが、何の不思議もない様子で楽しそうに箱から取り出して走らせる部長に頭を抱えていた。
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