放課後○○倶楽部
「ふ、伏峰先輩……こ、こここ、これって、ラブレターれすかっ?」
「……違う。多分、パスワードのヒントだと思うよ」

 途端に真っ赤な顔のまま俯いて座り込んだ律子ちゃんは「そうですか」と悲しそうに一言。何を期待していた知らないが、今はそんな状況ではないだろう。

 これだけではまったく意味の分からないただの文章で、これがパスワードのヒントなのかも分からない。

 とりあえずは他のヒントを見つければこの文章の意味も分かり、パスワードが分かるはずだ。何とかしてヒントを見つけないといけないのだが、見た限りではそれらしきものはない。

「さて、困ったな……」

 ソファに腰を下ろして対面にある観葉植物を眺めていたが心は和んではこなかった。

「先輩、お茶でも淹れましょうか?」
「そうだね、お願い出来るかな」
「はい。すぐに淹れてきますね」

 行き詰まりを感じた様子の律子ちゃんはこの状況を変えようとしているのか、妙に明るい声で備え付けのキッチンへと歩いて行った。六畳一間でもキッチンはある。

 そしてトイレもある。まあ、トイレがなければ今頃は大惨事になっているかも知れないが、それは今はいいとして俺は妙な事に気付いた。

 目に入ってくる高さも種類もバラバラの観葉植物が五つ。どこか独創的で綺麗にカットされて何かの形を表しているように見え、一つ一つに丁寧に名前が描かれたプレートが掛けられている。


 ……んっ?。


 しかし、俺が名前と思っていたがどうやら違うようだ。俺から見て左のプレートには赤い字で『いちM差M摩』と書かれている。

 その隣にある観葉植物に掛かったプレートには青い字で『に書J宇M』、ついで黄色の字で『さん巣J寄JJ』、更に紫の字で『よん打M位MJ』と描かれている。一番右のプレートには『1J2F3M……11N12D』と描かれていた。

 さっぱり意味の分からない文字と数字の羅列だが、パスワードのヒントだと思う。でも、頭が痛くなってきたのでとりあえずは保留にしておこう。
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