放課後○○倶楽部
「先輩、これ食べますか?」
「ん? ……ああ、もらっておくよ」

 包丁を置いてきた律子ちゃんが俺の前に差し出してきたのはアイスだった。

 お腹が空いている今に食べるのは少し違うような気がするのだが、何も食べないよりはマシだろう。

 ありがたく律子ちゃんから受け取ってアイスを食べ始めたが、不思議そうに俺の持っている紙を見つめている律子ちゃんに「読んでみて」と手渡した。

「…………え、えっと……あ、あの」
「何も言わなくていいよ」

 小さく乾いた笑い声を上げている律子ちゃんは、これまた小さく頷いて紙を俺に返してきたのでテーブルの上に置いた。

 その紙には『10本足のうしろをピッタリとくっ付け』と書かれた下に『↑の答+(携帯の電波-(一年で逃亡した月))=愛の言葉』と、もう一つ暗号らしきものがあった。

「謎が謎を呼ぶって感じだな……これは」
「……ですね」

 頭を抱えている律子ちゃんはテーブルに置かれた紙と睨めっこをしていたが、小さく息を吐いて肩を落としていた。さて……真面目にしないと本当に出れそうにないみたいだな、これは。
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