俺様外科医に求婚されました
「理香子」
そう呼ばれ、一気に鼓動が高鳴る。
私を見下ろす諒太の真剣な眼差しに、この時ばかりは何故か目を反らせなかった。
「頑張ったんだな」
そして優しい手のひらの感触が頭の上にふわりと落ちると、何故か鼻の奥がツンと疼き、目の前が急速に滲んでいった。
頑張った?
いや、違う。ただ必死だった。
何もかもを忘れたくて。
新たな何かに夢中になることで、私は自分自身を保っていたんだ。
「働きながら学校に通ったんだって?」
何も答えない私に、諒太は言う。
「でも、何でだ。聞けば五年前から青葉総合病院で働いてたらしいじゃないか」
輪島部長から、一体どう聞いたのかはわからない。
何を、どこまで、どんな風に伝えられたのかも全くわからない。
だけど、諒太にはバレてしまっている。
私が五年前から、あそこで働いていたこと。
それから、准看護師になっていることまで…諒太に知られてしまったようだ。