俺様外科医に求婚されました
「何で泣いてんの」
諒太の声が、すぐそばから落ちてくる。
「泣くなって」
そして優しい声でそう言った諒太は、私を包み込むようにそっと抱きしめた。
「なぁ」
うつむき泣き続ける私の耳元に、諒太の声が響く。
「あれから五年だぞ?五年も経って、不意打ちで偶然再会。これって偶然じゃなく必然じゃないか?」
何も言葉を返さない私に、諒太はさらに話し続ける。
「じゃなきゃ普通出会わないだろ。東京って、思ってる以上に広いぞ?街は人で溢れてるし、医者だって看護師だって数えきれないほどいる。昨日行ったあの店だって、俺は合コンだなんて聞いてなかったし?もし知ってたら俺はあの場に行くことなんてなかった」
…それは、私だって同じだ。
昨日の会が、輪島部長との食事会ではなく最初から合コンだと知っていたなら。
私は絶対にあのお店にはいなかった。
「でも、俺たちはあの場所に行った」
そう。
知らなかったからこそ…私たちはあの場所で、再び出会ってしまったのだ。