俺様外科医に求婚されました
それからしばらくは、特に言葉を交わさなかった。
沈黙に似た空気が、五分ほど続いた。
珍しく静かだから、まさか寝てはしないだろうかと何度か横目で確認してみたけれど、大和先生の目はしっかりと開いていたし、ちゃんと起きて前を見つめていた。
ホッとした。でも、それと同時に改めて違和感を感じた。
静かだと調子が狂うっていうか、落ち着かないっていうか。
タイミングが良いのか、ずっと青信号だし。
全然信号にも引っかからないから、いつ話しかけていいのかも悩むし。
そう思った直後。
そんなことを考えていたからか、目の前の信号が黄色くなり、赤に変わって。車がゆっくりと停車した。
すると、ずっと黙り込んでいた大和先生がようやく口を開いたかと思ったら。
「俺が、何で医者になったかわかる?」
疑問符のついたそんな言葉を口にした。